中国の環境汚染と水資源危機

中国における水需要は厳しい状況におかれている。
一つは国家的に政策として経済成長を最優先として進めてきた結果、水資源を依存していた河川の汚染が進んでしまったことである。
まず中国の水需要は長江、黄河、珠江、松花江、淮河、海河、遼河の7河川流域に大きく依存している。

2010年10月に実施された河川の水質検査において、飲料水としての基準をクリアできた地点は57%にしかすぎない。
これは前年に比べても21ポイントの悪化を示しているものであり、中国における河川の汚染は相当深刻なレベルにあるといえる。

また、地球規模での気象変動(温暖化)の影響も大きい。
日本では温室化ガスの増大は「温暖化」という表現をされるため、単に気温が上昇することと認識されることが多い。
しかし、問題はその温暖化によって起こされる地球規模の気象変動である。
これは現在のところ正確な予測は難しい。

しかし、地域によっては降水量などの変化により、従来の水サイクルが維持できなくなる可能性も示唆されている。
その兆候の一つとして、中国における気象変動が上げられるのではないだろうか。
今年に入り、中国国内では旱魃の影響により食糧生産に大きな影響が出ているというニュースが再三繰り返されていたのは目にしたことがあるのではないだろうか。

今でも「中国 旱魃」というワードで検索すれば、いくらでもそのニュースを目にすることができるはずだ。
また、北京では92日間全く雨が降らず、降雨なしの期間が過去30年間の観測史上最長を記録している。
既にそのような状況になる前に北京の水需給バランスは限界にきており、2010年9月には、水資源保護を理由として大量の水を使用する工場や娯楽施設などの建設は禁止されている状況である。

このような中国における水危機は、他国との軋轢も生んでいる。
中国がメコン川上やブラマプトラ川流に8基のダムを建設することに対し、下流域のインドや東南アジア周辺国家との間で水をめぐる軋轢を発生させている。
中国が自国の水需要をまかなうために実施する南の水を北にもってくる計画。
いわゆる「南水北調計画」が周辺国との火種になる可能性もある。

これは水の問題が国家の安全保障の問題にまでなっていることの実例である。既に世界では水資源の激しい争奪戦が行われているのである。

急速な経済成長を続ける中国において、最大のネックとなるのがこの、水資源の問題。
水需要を満たす供給をいかに実現することが、今後の中国の成長を維持の死命を制すると分析する専門家も多い。
そして中国自身も水資源、水利用の効率化、水資源をいかに有効に利用していくかという方向に目が向けられている。

中国の水ビジネスへの日本の取り組み

中国の経済発展は目覚しいものがある。
GDPでは日本を超え、世界2位となったニュースは新しい。
今後はアメリカを超え世界1位となるのではないかという声もある。
しかし、一方でその可能性を否定する声も小さくない。その最大の根拠となっているものが水資源の乏しさである。

人間は、水が無ければ生命を維持できない。これは当たり前の話だ。
だが生命を維持するだけの水がありさえすればいいというものではないのである。
水の需要はGDPの増大と大きな相関関係にある。農業生産、工業生産においても水が必須であることは言うまでもないことだ。

農作物の生育に水は必須であるし、鉱工業においても、洗浄などのあらゆる局面で水が使用されることになる。
そして経済成長は人々の生活水準を変化させる。衛生的で高い生活水準の維持のためには、膨大な水が消費される。

殆どの国ではGDPと水の消費量の増大は比例関係にあり、経済の成長とともに、水需要を増大させてきている。
これは中国に限っても例外ではない。現時点でGDPにおいて追い抜かれた日本であるが、既に2008年の経済産業省の統計資料によると、当時の時点においてすら、中国では「工業用水」、「生活用水」の消費量は2兆立方メートルとなり、日本に比べ10倍以上の水を消費している。

これからさき、中国が今のまま放漫な水利用のまま経済成長を続けることは、どこかで、水の需給バランスに破綻をきたし、成長が停止するという主張がある。
既に中国は河川水の60%を利用し、近い将来水供給は限界に達すると国連の「United Nations. Environment Programme(2007)」で指摘されていることである。

しかし、それは中国が何も対策をしなければという前提である。
現在中国では10カ年計画により効率的な水利用を目指し50兆円の投資を行う計画を実行に移そうとしている。
2011年の政策課題「中央1号文件」において、利水対策を最重要課題としており水ビジネス分野への投資が大きく行われようとしている。
中国は効率的な水利用を実現し、経済成長を継続できるのか。

そこで、大きなチャンスがあると思えるのが、日本の水ビジネス関連企業、そして自治体である。
先ほど述べたように日本の水利用の効率の良さは世界でも傑出しているのである。

水道一つとってみて取水した水が使用する蛇口に出るまでに失われる漏水率が世界の中でダントツに低いのである。
東京都においては約3%。先進国であってもアメリカ、ロサンゼルスが9%、ロンドンが26%。開発途上国においては30%超え漏水率が普通である。

そして汚染された水の再利用などの技術のコアとなる逆浸透膜技術など日本は中国水ビジネスに大きく食い込める武器を所有しているのである。

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