上下水道ビジネスの現在

日本においては上下水道ビジネスを行っている事業体は2006年時点で9202に上り、その殆どが自治体によって行われているのが特徴である。
つまり、日本で上下水道を日々行っている事業体は民間ではなく自治体であること。
このことが実は上下水道ビジネスにおいて大きな問題点となっていくのである。

日本の上下水道ビジネスは、インフラ建設、コアモジュールなどの面などの技術が民間企業にあり、運用、メンテナンスなどの日々のサービスに関するノウハウが自治体にあるということである。
今まではこの住み分けが完全に分かれており、民間企業が上下水道ビジネスに参入することは無かった。

しかし、自治体側では水道インフラ設備の維持メンテナンス費用の負担、人口動性予測の読み近いによる過剰な設備投資、そして人口の現状による水道需要の減少。
予算の制約による設備の老朽化。
自治体の上下水道ビジネスには、このような大きな問題を抱えているのが現状である。

そのため、自治体側において上下水道インフラ設備のメンテナンス、サービスコストの問題から、民間手法を入れていく運営が模索されている。
既に、東京都の「東京水道サービス株式会社」、大阪市の「株式会社大阪水道総合サービス」、横浜市の「横浜ウォーター株式会社」、名古屋市の「名古屋上下水道総合サービス」という自治体出資の民間企業という形で、上下水道の運営に関しては、民間手法を取り入れる動きが進んでいる。

これはPPP(パブリックプライベートパートナーシップ)という考え方、つまり読んで字のごとく「官」と「民」がパートナーとなって事業を進めていくというものである。
特に水ビジネスの分野ではこの考え方が進んで取り入れられている。

そして、もう一つの動きが、国、全国自治体、民間企業における海外における上下水道ビジネス展開を目指す動きである。
まず国のレベルにおいて2010年6月に「海外水インフラPPP(パブリック・プライベート・パートナーシップ)協議会」が設立されている。
東京都、大阪市などの自治体と水道事業を行う民間企業、商社などが参加しているものである。

これは海外への上下水道ビジネス展開のために官民の情報共有、連携を求めるため設置されたものである。
また、自治体レベルにおいては、2011年3月に北九州市などがカンボジア・シェムリアップ市の浄水場建設設計の受注を得るなど、海外進出によって、国内上下水道ビジネスの低迷をカバーする動きが活性化している。
海外水ビジネス参入を検討段階にせよ表明している自治体を含めるならば10以上の自治体が海外を視野にして動き出している。

東京都、大阪府、横浜市、名古屋市、北九州市、埼玉県、沖縄県、川崎市、滋賀県、広島県、浜松市など10以上の自治体が企業との連携しつつ海外市場を目指し様々な動きを見せている。

海外上下水道ビジネスに対して、国、自治体、民間企業のレベルで有望市場として考えており、積極的な協力体制の構築を行っている。
国においては、「海外水インフラPPP(パブリック・プライベート・パートナーシップ)協議会」に設立。

そして新成長戦略」の主柱の一つされる海外インフラ輸出の中でも重要視されるものである。
それに向け、2010年より国際協力機構(JAIC)を窓口とする政府開発援助(ODA)が行われることとなっている。
その事業の一環として受注一号となったものが、北九州市と浜銀総合研究所の官民連合によるカンボジアにおける浄水場建設設計事業である。

この他にも東京都、大阪府、市、神奈川県、横浜市、川崎市、埼玉県、浜松市、滋賀県、広島県、沖縄県など多くの自治体が海外水ビジネスを目指す動きを見せている。
この中には、既に提案の機会を得たり、人的支援などを行っていたりする自治体もあれば、いまだペーパープランである自治体もある。
ただし、これから民間企業との連携をとりながら、海外市場へ進出する動きは大きくなってくると考えられる。

それは、海外における水ビジネス市場の大きさである。経済通産省の2008年の「通商白書」によると2025年には水ビジネス全体では100兆円を越える市場規模に成長するといわれている。
上下水道ビジネスにおいて何が一番大きな割合を占めているのか。
それはメンテナンスと運営の部分なのである。
全体の90%以上がこのメンテナンスと運営が占めるといわれているのである。

そして海外における開発途上国の受注案件は、包括的な案件が主流を占めている。
つまり、インフラの整備建設から、メンテナンス、運営などを含めた事業となるのである。

インフラの建設やコアデバイスの部門では日本は世界でもトップクラスの技術を誇る。
特に逆浸透ろ過膜などは全世界の60%以上の占有率を占めるなど圧倒的な競争力を誇っている。

しかし、それだけでは水ビジネスの世界では大きな位置を占めることができないというのが現実である。
日本の民間企業には、上下水道の運営に関するノウハウが無いのである。
そしてそのノウハウを持つのが全国の水道事業体である自治体ということになる。

この日本における技術と運営ノウハウの所有者が異なるという点が次第に解決されつつある。
その動きか、国家レベル、自治体レベルで行われている官民連携、オールジャパン体制の構築も計画されている。
資金面での国家的なバックアップとして、経済産業省主導による民間ファンドの設立が計画されている。

今後、この連携が順調に行き、オールジャパン体制作りが順調にいくとするなら、欧州水メジャーの高い牙城の一角を崩すことも可能ではないかと考えられる。

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