廃水浄化再利用ビジネスとは
新興工業国の工業発展に伴い、当該国の水需要は増加するとともに、河川、地下水などの水域の汚染は進行している。
それは、工場廃水が全く処理されず流されているという現状に問題がある。
経済成長、生産が優先されるため製造コストに跳ね返ってくる環境配慮への設備投資はどうしても後回しにされてしまう。
これはかつての日本においても同様のことがあり、「公害問題」というのは昭和40年代に大きく扱われたものである。
まず新興工業国にとっては経済成長が至上命題であり、公害、環境規制の法整備に関してはこれからの問題となっている。
特に水資源の不足が深刻であるのは中国である。急速な工業化の進展により、汚染された工業廃水がそのまま河川に流される。
利用できる水資源はそれよりにより更に厳しいものとなっている。
最近の中国政府もこのような現状は自国の首を絞めることが分かってきている。
いかに効率的に水を利用するか、水資源をいかに守っていくかという方向に目を向けている。
中国政府は2011年1月29日に、水利用改革投資を最優先課題として今後10年で50兆円の投資を行っていくと発表している。
その他、アジア各国の水質基準に関する法制化も、日本をモデルとしている部分が多く、水質検査機などにおいても日本の仕様のものが使える機会が多いというのはアドバンテージとなっている。
ただし、計測器分野はこの廃水浄化分野においても市場規模は小さなものであるというのが残念なことである。
水ビジネス全体の中で見たときは、工場廃水の再生処理のビジネスはどちらかといえば現在はニッチといえる分野である。
日本企業においては国内市場において十分な収益が上がるため、積極的にアジアなどを中心とした市場に打って出る企業が少なかった。
ニッチとはいえ、絶対量の多い中国市場においても、日本企業の進出は不活発である。
それは、日本の浄化技術が高スペックであることを認めながらも、現地の実需にマッチするほどの価格帯にないということが問題となっている。
要するに新興工業国にとっては高級品なのである。
その日本企業を押さえ、工業廃水分野において市場を押さえているのが、地元の企業であり、やはり水ビジネスを国家戦略としている韓国。
そして、やはり欧州の水ビジネス企業である。
これから工場廃水、生活排水などの再生利用、水処理ビジネスの中心となるのはアジアを中心とする新興工業国である。
この様な国は経済成長を最優先としているために、環境分野における投資はプライオリティの低い物となっている。
まず水質に関する法整備、水質基準値に関する整備もこれからという国もある。
そして法整備がなされていたとしても、水質基準値検査を行うためのそれを厳格に取り締まるための社会的なコンセンサスが得られていない。
例えば、中国においては2000年までは環境基準値を超えるような汚染した工場廃水を流している企業であっても、汚染に対する罰則金を地方政府に支払いさえすれば、事業の継続が可能であった。
企業側からみれば、排水浄化に関する費用投資よりも地方政府に対する罰則金を支払うことの方が安上がりであるという現自治があったのだ。
地方政府においても、この罰則金を集めることに誘導することが優先であり、本気で環境の改善を考えてはいなかったといるのではないかと考えられる。
実際に財政補填にこの費用が私用されたのではないかという指摘もある。
ただし、中国中央政府側も、水資源危機が深刻なものであるとの認識を持つに至り、2000年以降は環境方面への重視へ方向を転換しつつある。
そこまで中国における河川、地下水などの主な水源の汚染が深刻な状況になっているということである。
中国主要7河川において、飲料水に適した水質とされる割合は57.1%に過ぎないというのは、環境政策をおざなりにしてきた結果である。
ただし、今後は水資源の重要性を認識し、排水浄化、下水再利用などのインフラ投資は促進されていく。
しかし中国においてのこのビジネスには非常にリスクが伴うものである。
日本は、水の浄化に関する膜技術、化学、生物浄化技術においても世界のトップ水準にあるといわれる。
しかし、ハードインフラの建設、売り切りのビジネスの場合、その市場はそれを売った時点で広がりを持たないという危険性が高い。
知的症有権の認識の薄い中国を始め新興工業国においては、ハードの売り切りビジネスは、それをコピーされて市場が広がりを持たない可能性が高い。
それを防ぐためには、現地企業とのパートナーシップを作りながら、運営、整備までを含めて包括的なビジネスとして受注することが肝要であるといえる。
実際に、丸紅、クボタ、東レなどの商社、メーカーなども地元企業と資本出資した新会社にてビジネスを展開するなどの方法をとっている。
このような形式が中国におけるビジネススタイルとして、今後も進展していくのではないかと考えられる。
