水ビジネスの現在

「水と安全はタダであると思っている」これはイザヤ・ペンダサンの筆名で書かれた山本七平の言葉である。
そして日本には、「湯水のように使う」という言葉もある。
高価なものを大量に使用するときに使われる言葉である。

それだけ日本においては水というのは安価であり当たり前に手に入るものであるという認識は今でも根強いものではないだろうか。

しかし、この日本において安い水を供給していた水道事業が行き詰まりを見せている。
それは水需要計画の見込みの失敗。人口の増加を読み間違えたという問題がある。
各自治体の水需要は減少の傾向を見せており、その収支は悪化している。

そして巨大な上下水道設備を維持するコストの問題。団塊世代の大量退職による属人化していたスキル継承の問題まで、多くの問題を抱えている。
昨年10月には日本総合研究所が、全国自治体に、今後の上水道事業の経営課題に対するアンケート調査を実施している。

この調査によると、水需要の減少による収益の悪化。
水道施設の老朽化による更新問題。人員不足の問題などが既に表面化している自治体が約40%。
1年~3年以内に顕在化するとする自治体が約25%となっている。

水道事業に関し自治体の抱える問題は大きい。
このような問題は使用者側にも負担を強いる結果となり、水道料金の格差は自治体によって9倍近いものとなっているといわれる。
そして水の価値はこれから上がることはあっても下がることはないであろう。

それだけ水の持つ価値が大きなものであるという認識は日本の中でも浸透していくことになるであろう。

「水ビジネス」という言葉が昨今流行っているのも、水の持つ価値。これが日本国内で認識されてきている動きの現れの一つであると考えられる。
こうした中、世界では「水メジャー」といわれる欧州を拠点とするヴェオリア、スエズなどの企業が水ビジネスの世界を占有している状況である。

水は飲料水だけではなく、農業、工業、各種の事業に必須のものである。
水ビジネスという大きな枠の中、飲料水を提供する上水場事業、生活排水を処理する下水場事業。

そして農業用水の提供、工業用水の提供なども水ビジネスの範疇に入るものである。
また、最近では船舶が運航される際に、船の復元性維持のため船底に取水されるバラスト水などもあらたな水ビジネス市場として考えられている。

このような水ビジネスの世界では、欧州を中心とする企業が巨人として立ちふさがり、日本企業が一部のコアデバイスの供給を除くと劣勢に立たされているのが現状である。

▲ページの先頭へ戻る